経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)
“「衛星の寿命延長に資する燃料補給技術」に関する研究開発構想 - 非協力衛星への対象拡大を見据えた捕獲技術等の獲得” に、国内複数研究開発機関と協力して取り組んでいます(代表機関:東京科学大学)。非協力衛星捕獲のための近傍接近技術、捕獲技術、そしてそれらの地上システム試験技術の研究開発が柱となっています。非協力衛星は宇宙空間において自由回転していることが想定されるため、その運動の低減技術(デタンブリング技術)と、複数宇宙機間の接触を加味した捕獲技術が必要になります。そのため、宇宙機間の相対運動推定のための宇宙センシング技術や相対航法誘導制御技術、宇宙マニピュレーション技術、そしてそれらの地上試験技術等の研究開発が重要となります。非協力状態に陥ってしまった宇宙機を安全に捕獲し燃料補給等のサービスを施すことができるようになれば、衛星寿命の長期化や宇宙環境保全の実現に繋がります。
プロジェクト概要
Overview
軌道上サービス技術は、①軌道環境・物体の状態監視・遠隔検査技術、②宇宙デブリ捕獲・除去・低減技術、③宇宙機の寿命延長技術(燃料補給、軌道変換・維持)、④軌道上修理・交換・製造組立技術等の段階的な技術群で構成されています。また、対象となる宇宙機は、ロケットの上段等の大型宇宙デブリと、人工衛星等の比較的小型な宇宙デブリとがあり、国内においてはそれぞれにおいて取り組みがなされています。
K Programで取り組む本プロジェクトは、その中で図に示された位置付けとなっており、燃料補給技術の対象拡大という位置付けに加え、将来的な小型非協力宇宙デブリの除去・低減や、軌道上修理・交換・製造組立技術等の将来の発展的軌道上サービス技術の確立に繋がる重要技術となります。産学官連携による早急な軌道上実証が求められます。
研究開発事例
RESEARCH & DEVELOPMENT
非協力衛星に対する近傍運用・捕獲・地上試験技術
宇宙機は、通常は地球からの観測や自身に搭載されているGPS受信機に基づく絶対位置情報を基に運用を行います。それに対し、非協力衛星の位置情報は外部からの観測においてのみ推定可能であり、地上からの観測では数km程度の誤差を有します。そのため、更なる接近のためには軌道上における相対観測で高精度な位置推定を行う必要があります。非協力衛星は、太陽電池パネルや衛星本体表面の熱制御フィルムなどの鏡面的光学特性を有することが大きな特徴となります。本プロジェクトでは、そのような光学特性を有する宇宙機を遠距離から観測しながら徐々に接近し、極近傍における軌道上サービスを実施するための近傍運用技術の確立に取り組みます。また、極近傍に到達後の運動低減や接触を伴う捕獲技術と、それらの地上システム試験技術の確立に取り組みます。